■第1回オンライン勉強会(2025年6月21日)
2025年6月21日、「第1回オンライン勉強会」が開催され、認定NPO法人市民後見センターさいたま 顧問・中田均氏を講師に迎え、「何をめざしてNPOを立ち上げ、成年後見の受任活動を行っているのか」をテーマに講演が行われました。当日は、スタッフを含め約40名が参加しました。
本講演では、NPO法人の設立経緯から、運営方針や維持の工夫について紹介されました。以下、概要を報告します。
市民後見人養成講座を修了後、市民感覚を大切にし、障害者を中心とした権利擁護活動を推進すべくNPO法人を設立。
運営の維持にあたっては、助成金に依存することなく、継続的に安定した資金を確保することが重要であるとし、資金調達の工夫についても説明がありました。認定NPO法人は、寄付や遺贈に税制優遇があるため資金面では有利な一方、100名以上の寄付者の確保や厳格な監査への対応が求められることに言及されました。
また、運用面では、不正防止の観点から1案件につき3名体制とし、成年後見賠償責任保険などに加入しているとのことです。
受任対象者は「親族が身近にいない、中程度の資産を有する方」を中心とし、任意後見を軸に、見守り契約・財産管理委任契約・死後事務委任契約などを組み合わせた総合的な支援を提供していることが紹介されました。活動には、社会福祉士・ケアマネジャー・臨床心理士など、多様な専門職がスタッフとして参加しており、地域の中核機関にも参画しているとのことです。
包括支援センター、福祉施設、社協などとの連携により受任件数を増やすことは可能ですが、それに伴い、スタッフの増員が課題であるとの認識が示されました。
今後は、受任件数50〜100件を目標に、高齢者の終身サポート事業や後見監督人の受任など、活動の幅をさらに広げていく方針が示されました。地域の関係機関や住民と協力し、誰もが安心して暮らせる仕組み、すなわち「地域共助」の実現に向けた取り組みを続けていくとの展望が示されました。
■第8回セミナー<オンライン>「知っておきたい介護保険制度~介護とお金の話~(2024年12月21日)
2024年12月21日(土)13時より、「知っておきたい介護保険制度~介護とお金の話~」と題し、Zoomを使用したオンライン講習会を開催いたしました。
講師には、黒田尚子氏(黒田FPオフィス代表・一般社団法人患者家計サポート協会顧問)をお迎えし、全国から47名の参加がありました。
講義では、介護保険の基礎知識を学び、介護にかかる費用について具体的な数字を交えながら現状を共有することができました。また、親が介護保険を利用する前にできる準備として、地域の社会資源の確認や相談窓口の活用、介護にかかる費用の把握が重要であることが強調されておりました。さらに、限られたお金を効果的に活用するため、自分に必要な情報を事前に収集することの大切さについても言及がありました。
休憩後の質疑応答では、次のような実践的な質問が寄せられました。
「老々介護状態だが、子としてどの程度関わるのが良いか。また、老健施設を利用した場合の費用はどのくらいか。」
「両親が介護状態にあり、母が倒れてリハビリ中のため、相談先を教えてほしい」
いずれも、親の介護に直面する参加者の切実な質問でした。
2時間にわたる講習会は、特に親の介護を控える世代にとって色々と考えさせられる機会となり、大変有意義なものとなりました。
■第7回セミナー<オンライン>「終活・もしもの事があった時~市民後見人として知っておくべきこと」(2024年3月2日)
3月2日㈯13時より学習会を開催しました。今回は初めて、会場とオンラインを併用したハイブリット方式で開催し、47名の会員が参加しました。
学習会は、「終活・もしもの事があった時~市民後見人として知っておくべきこと」のテーマで、(一社)包括あんしん協会代表理事 大和泰子氏に講義いただきました。

講義の概要を紹介します。
2025年には65歳以上の単身者は725万人と予想され、5人に2人はおひとり世帯となる見込みであること、東京都23区の孤独死は6,000人超(令和2年)などのデータを示し、一人暮らしの孤独死問題が指摘されました。
『一人暮らしの高齢者が備えるべきポイントとしては、「緊急連絡先」「身元引受人」「入院時や介護申請時の手続き人」など支援者・支援事業者を事前に決めておくことが大切です。身元保証契約や任意後見契約、死後事務委任契約などの制度を活用することで、万が一の時にスムーズなサポートが可能となります。』と、大和氏からは、事例を交えながら具体的なアドバイスが提供されました。
学習会では質疑応答の時間が設けられ、参加者からは「保証人が医療同意を求められた場合の対処法は?」「保証人が連帯保証した際の資金不足への対応策は?」「任意後見契約において監督人の指示が本人の意向に添わない場合はどうしたらよいか?」など、高度な質問が寄せられました。学習会終了後に行われた交流会では、「具体例を交えた講義が理解しやすかった」「身元保証人に関する情報が参考になった」といった学習会への好評の声が寄せられました。また、参加者同士の交流や近況報告も行われ、有意義なひとときとなりました。
第6回セミナー<オンライン>「消費者センターの役割と最近の高齢者被害」(2022年9月25日)
全国消費生活相談員協会会員 廣重美希氏をお招きし、「消費者センターの役割と最近の高齢者被害」と題したオンライン講演会を開催しました。
廣重氏は 消費生活センターでの相談員を23年勤務し、現在市民後見人でもあります。
講演の概要を紹介します。
消費生活センターは「消費者と事業者との契約」や「製品事故」についての相談を扱っており、相談件数は2004年をピークに減少し、ここ何年かは横ばい状況です。ただ、近年は、サイトの詐欺により、契約解除に至るまで、決済代行会社など多数の会社と交渉することになり複雑化しております。
高齢者の被害は、家族からの相談が多く、被害者が認知症の場合は、本人が契約解除しなければならず、解決が難しいことが多いです。高齢者に見られる被害の購入形態は、訪問販売、電話勧誘販売が6割を占めております。
いくつかの高齢者トラブルとして悪質業者の手口を紹介し、困ったときは消費生活センターへ相談することを促しておりました。
未然に防ぐ手段として、「訪問販売お断りステッカー」や「留守電対応」をあげております。
また、迷惑なダイレクトメールは、「受取を拒絶します」と明記し署名・押印したメモを郵便物に添付して返送することや、訪問販売の解除は、クーリングオフ制度を活用して、ハガキ等で販売業者、該当商品名等を記載し、販売店宛て「特定記録郵便」で通達する、などの対処方法が紹介されました。
高齢者の見守り活動としては、高齢者が持つ「お金」「健康」「孤独」をキーに、「見慣れない段ボールが山積み」とか「見慣れない人や車が出入りしている」などの見守りチェックポイントを設けケアしてほしいと結んでおります。
参加者からは、新たに知りえたことが多く、ためになったとの声をいただきました。
■第5回セミナー 「障害のある子の親なきあと~成年後見制度の利用と課題」(2019年5月25日)
障害のある子を持つ家族にとって「親なきあと」は共通の課題です。障害者の子どもをもつ親の悩みに寄り添い、ともに考えるための「親なきあと」相談室を開設し、全国での講演活動や執筆など幅広く活動している渡辺伸先生に講義いただきました。渡部先生は、「障害があるお子さんも、今ある法制度やサービスをうまく組み合わせることで、少しでも安心して暮らせることができる。」とアドバイスされております。また、「成年後見制度は障害者には向いていないのでは」との声が親御さんから聞かれますが、成年後見制度を利用するにあたっての注意点や課題についてもお話しいただきました。(於:飯田橋ボランティアセンター)
■第4回セミナー 「いざという時のために不動産取引のポイントを学ぼう」(2018年9月30日)
不動産コンサルタントとして相談業務を主に活動されている「株式会社あゆみリアルティーサービス」代表 田中歩氏に、「付き合うべき不動産業者の選び方」「売買取引時に注意しておきたいポイント」などについて講義いただきました。最近社会問題になっている“空き家”の管理方法や、相続対策として注目されている家族信託の活用例についてもお話しもありました。(於:飯田橋ボランティアセンター)
■第3回セミナー「聴いてみよう!福祉最前線の声を」(2017年11月12日)

2017年11月12日(日)飯田橋TVACに於て、福祉最前線で活躍されている先生方を講師にお招きし、セミナーが開催されました。
第1部では、訪問看護、高齢者住宅などを運営されている「㈱アース」の佐塚様から、福祉現場における医療に対する対応の変化、特に本人の意思を尊重した延命治療を考える時代となったことや、施設での虐待の実態から本人の想いに気づくことへの大切さなどを学びました。
第2部では「NPO法人中空知成年後見センター」の熊谷様より、後見活動をする心構えとして、本人の暮らしを中心に考えることが肝要であること、法人後見のメリット、さらに医療など本人の希望と相反した時の対応の難しさなどのお話しをいただきました。
質問タイムでは、終末期医療への対応の仕方や、法人組織を作る上での人材確保の難しさ、などについて活発な意見交換が行われました。成年後見を行う際、本人の希望・意思を支援する努力が必要なことを確認しました。
■第2回セミナー「どうなる成年後見制度」(2017年6月18日)



2017年3月に「成年後見制度利用促進基本計画」が閣議決定され、成年後見制度の新たな運用が注視される中、利用者にとって使い勝手が良い制度となるか? 利用者がメリットを実感できるための運用のポイントは何か? 成年後見制度の問題点と展望について講演が行われました。定員一杯の50名の方が参加されました。
1部では、税理士法人昴星 小野寺先生から「第4回後見成年後見会議」で討論された内容の紹介と、ドイツ「世話法」を解説いただき、成年後見制度の課題について勉強しました。「日本の制度を利用しやすくするための課題が浮き彫りにされ、成年後見制度の問題点や見直しポイントが整理できた。」と好評でした。
第2部では、日本成年後見法学会主催 緊急シンポジウ「成年後見制度利用促進基本計画と市町村の役割」から、パネルディスカッションに登壇された専門職各氏が、「基本計画」について述べた評価と課題について市民後見ひろばから報告されました。
利用者がメリットを実感できる制度になるか、今後の施策が待たれるところです。
■第1回セミナー「新しい地域後見人制度」(2016年11月15日)
家族信託の第一人者であります遠藤英嗣先生に講演をお願いいたしました。先生にはオリジナルなカリキュラムを組んでいただき、親族後見人や市民後見人を含んだ地域後見制度の構想と家族信託の有効性についての講義を傾聴しました。先生の論説を賜り、とても具体的で意義深い学びを得ることができました。質疑も受けて頂き、とても有意義な講演でした。

